心理学理論と心理的支援の科目は心理系の大学を出た人は得意分野ですし、心理学が好きな人も高得点が狙える科目です。よって、心理学初学者は幅広い内容にとまどわないように頻出キーワードから押さえていきましょう。受験生が選ぶ頻出キーワード第4位をこの記事では紹介します。
・第4位キーワードの覚え方。
以下、目次となります。
目次
『心理学理論と心理的支援』受験生が選ぶ頻出キーワード第4位は?
この言葉が第4位に選ばれました。エリクソンはもちろん頻出ワードですが、模擬試験や問題集にも必ず顔を出す、頻出の人物です。
この人物が何をした人かピンとくるでしょうか?
エリクソンは発達の概念をライフサイクルとしてまとめあげた人物です。ですので、エリクソンと言えば発達、ライフサイクルという言葉をすぐに思い浮かべることができるぐらいにはしておきたいものです。
発達の8つの段階を覚える(①乳児期~④児童期)
エリクソンの発達の概念は8つにまとめた所にその特徴があります。それらを覚える必要があります。国家試験対策としては、各段階の課題「○○」対「○○」を正確に覚えているかを問われることが多いです。一つ一つ見てみましょう。
まずは①乳児期です。乳児期は母親との関係を通して、自分が自分の取り巻く社会を信頼できるか感じ取る段階です。そこで、その段階で生じる課題は「信頼」対「不信」としています。
乳児期の赤ちゃんは泣くことで助けを求め、世話をしてもらう必要があります。このとき、適切な世話をしてもらえれば、世の中に対する信頼感が構築されるでしょう。そうすれば、「希望」という力を得るとしたのです。
続いては②幼児期前期です。幼児期前期はしつけを受けることで、自分を抑制することを学ぶ段階です。その段階で生じる課題は「自立」対「罪・疑惑」としています。
この時期の子は親のしつけにより、赤ちゃんの頃はやってもらっていたことを、一人でできるようになっていきます。親が子に、機会を与え、できない所のみを手伝ってあげれば、子は自信をつけて、自分でやってみようとする「意志」という力を獲得するとしているのです。
その次は③幼児期後期です。この時期には、自発的な行動によりそこで様々な感情を得るようになります。その段階で生じる課題は「自主性」対「罪悪感」としています。
この頃の子は、世界に対して強い興味を持ち質問を繰り返したり、ごっこ遊びをしたりします。この子どもらしい行動や言動は、自主性を育み自信を身につけますが、過度に厳しく接すると、自分の行動に子どもは罪悪感を覚えてしまいます。
自主性と罪悪感のバランスがうまくとれれば、生きていくために何が必要かという「目的」という力を獲得できます。
その次の段階は④児童期とされています。この時期には学校や家庭などで様々な課題を乗り越えていく時期となります。この段階で生じる課題は「勤勉性」対「劣等感」としています。
例えば、小学校に通いはじめ、宿題が出されると計画的に課題を仕上げ、提出するということを覚えます。うまく出来れば褒められることもあるでしょう。そうすれば自信がつき、自分には能力があるとういう「有能性」という力を獲得できます。
しかし、逆に課題を克服できず、叱られれば、自信をなくします。そうすれば、劣等感を覚えるでしょう。子が劣等感を抱かず、自信を抱かせることが必要な時期としているのです。
発達の8つの段階を覚える(⑤青年期~⑧老年期)
5番目の段階は⑤青年期とされています。中学生から高校生までぐらいの時期です。この時期は丁度思春期にあたり、「自分とは一体何だろう」「将来、自分はどうなるのだろう」など、自分自身について悩むようになります。この段階で生じる課題は「同一性」対「同一性拡散」としています。
「自分はこういう人間だ」とアイデンティティを確信できるようになれば、「忠誠」という力が得られます。自分の価値観を信じ、貢献しようとする力のことです。
6番目の段階は⑥成人前期とされています。大学生から40歳までの大人になって中年と呼ばれるようになる頃までの比較的長い時期をこう呼びます。親密な人間関係を築きながら、結婚も経験することとなります。その中で連帯感を確立していく時期になっていきます。この段階で生じる課題は「親密」対「孤立」としています。
社会に出て、これまでと違った友人を持つようになり、また、新たな家族築いてていきます。そこで、「愛」という力を得ることになります。愛を得ることで幸福な人生を送ることができるようになるのです。
7番目は⑦成人後期とされています。40~65歳頃にあたるこの時期は壮年期とも呼ばれます。この頃は子育てに追われ、また仕事にも意欲的に取り組む時期になってきます。こう言った経験を通して、社会に意味や価値を求め、そして生み出すことができるようになります。この段階で生じる課題は「生殖性」対「停滞」としています。毎日に対して単調だと感じれば停滞していくために注意が必要です。
子育てや職場で後輩や部下を指導することが必要になってくる時期でもあります。自分よりも後の世代に貢献するようになる時期です。これにより、私たちは「世話」という力を獲得します。
最後の8番目は⑧老年期とされています。65歳以上の段階をを指しています。今までの自分の人生を評価し、人生の意味を考え出す時期です。この段階で生じる課題は「自我統合」対「絶望」としています。
仕事を退職し、老後の人生を模索しながら自分の半生を振り返る時期です。自分の人生に満足を感じるのであれば「英知」を得ることができるでしょう。しかし、自分の人生に後悔を抱えていれば、自分の残りの時間が迫っている中、絶望的な気分を感じてしまうことでしょう。
このようにエリクソンは発達段階を8つに分け、その中で生じる課題を克服することでその段階で特有の力を得ることができるとしたのです。
その他、発達理論
その他、覚えておかないといけない発達理論の代表者はピアジェです。ピアジェは子どもの思考・認知の発達を4つの段階にまとめています。
①感覚運動期…~2歳まで
②前操作期…2~7歳
③具体的操作期…7~11歳
④形式的操作期…11歳~
また、フロイトは自我の発達を5つにまとめています。リピドーという性的エネルギーによりまとめている点に特徴があります。
①口唇期…~18か月
②肛門期…1~3、4歳
③男根期…5~6歳
④潜在期…6歳~思春期
⑤思春期・性器期…思春期
合格者はこう覚える!
エリクソンのライフサイクルは8つの段階にまとめられています。最低限覚えなければならいのはこの「8つ」という数です。これに対してピアジェは「4つ」。
ただし、エリクソンの場合は、課題の「○○」対「○○」を覚えておきたいものです。覚えやすいところから覚えましょう。
①乳児期:「信頼」対「不信」
生まれてきて間もない赤ん坊は、母親の助けが必要です。そこで母親の愛情をもらえれば「信頼」することができるようになりますが、十分な愛情を受けられなければ「不信」が募ることでしょう。
④児童期:「勤勉性」対「劣等感」
児童期は小学校に行き出す時期ですので、勤勉性を得れなければ劣等感を抱くようになる。と考えれば覚えやすいはずです。
⑤青年期:「同一性」対「同一性拡散」
青年期は丁度、思春期の時期。自分とは何か?と考えだし、反抗期に至ります。自分が何かわかれば自分という人間の同一性が理解できますが、自分をしっかり理解できず反抗的になれば、自我は拡散していくと覚えればよいでしょう。
⑧老年期:「自我統合」対「絶望」
人生の終盤期の時期、自分の人生をすべてプラスに解釈できれば「自我統合」できますが、後戻りのできないこの時期に過去を恨めば「絶望」を受けるでしょう。
②の幼児期前期(「自立」対「罪・疑惑」)と③の幼児期後期(「自主性」対「罪悪感」)は覚えずらいですよね。片方のプラスの方のみをまずは覚えましょう。人間は幼児期前半で「自立」していき、後半で「自主性」が出てくる。こう考えると頭に入りやすいはずです。
また、⑥成人前期(「親密」対「孤独」)と⑦の成人後期(「生殖性」対「停滞」)も覚えずらいです。こちらはマイナスの方から覚えると覚えやすいです。成人前期は結婚をし課程を形成する時期。独り身でいれば「孤独」と感じる方も多いでしょう。また、成人後期は子育てに忙しかったり、働き盛りの時期。しかし、単調な毎日にもなりやすく「停滞」する可能性も出てきます。
このように覚えやすいものから、その段階をイメージし、なんとかマスターしてみてください。エリクソンのライフサイクルは頻出内容ですので得点源にしておきましょう。
- この記事でのポイント
・エリクソンのライフサイクルは8つにまとめられている
・ピアジェは思考・認知の発達を4つにまとめている
・課題の「○○」対「○○」をしっかりと頭に入れる。