社会理論と社会システムの科目は苦手意識を持ち、0点を取ってしまうのではと危惧している人も多くおられます。これまで社会学を学んだ経験がない方でその傾向が強いです。ですが地道に、分かりやすい、覚えやすい所を中心に興味を持てる所から押さえていきましょう。受験生が選ぶ頻出キーワード第5位をこの記事では紹介します。
・第5位キーワードの覚え方。
以下、目次となります。
『社会理論と社会システム』受験生が選ぶ頻出キーワード第5位は?
この言葉が第5位に選ばれました。囚人のジレンマという言葉を知っている人もいれば知らない人もいるでしょう。言葉を知っている人は内容までしっかり覚えてください。初学者であっても面白いので頭に入りやすいと思います。
「囚人のジレンマ」とは、「ゲーム理論」という経済学の中の理論モデルの一つです。「社会的ジレンマ」と言われることもあります。1950年にアルバート・タッカーによって考え出されました。このタッカーは経済学の中では知られた人ではありますが、社会福祉士の国家試験ではキーワードではないので覚える必要はありません。
二人の囚人が別々に収容され、解放されるためにそれぞれが合理的な選択をしたにも関わらず、結果的にはお互いにとって望ましくない結果となってしまうというジレンマよってゲーム理論を説明したものです。
ゲーム理論とは?
「ゲーム理論」とは、利害の対立する集団の行動を数学的にとらえる理論、つまり、ゲームに勝つための、戦略的思考の理論のこと言います。社会学だけではなく、先にも述べた経済や政治などにおいても、相手の行動を読みながら意思決定を行っていく様子がゲームに似ているため、このように呼ばれるようになりました。
自分が利益を得ようとした場合に、自身の行動だけでなく、相手の行動にも注視しながら意思決定を行う場合がゲーム理論の対象となります。
囚人のジレンマ
囚人のジレンマとは上述のゲーム理論にそって言えば「個人の最善の選択が必ずしも全体にとっての最善の選択になるとは限らない」という事を言っています。
例えば、2人で共謀して犯罪を犯したとします。
2人は捕まりましたが、別々に収容されそこでそれぞれ取調を受けていますが黙秘を続けているとしましょう。
2人がこのまま黙秘をし続けたのであれば警察は犯罪を立証することが出来ません。
そこで、警察は知恵を絞りそれぞれの収容所で以下のように、この2人に伝えました。
・2人の両方が自白すれば懲役5年としよう。
・2人のうち片方のみが自白すれば自白した方が懲役1年、もう片方は懲役15年
この場合、この2人にとって最善の選択とは黙秘でしょうか、自白でしょうか?
もちろん、
2人が黙秘すれば警察は立証することができないので、両方とも黙秘を選択すれば2人とも懲役刑を逃れます。つまり、両方が黙秘することが最善の選択です。
しかし、別々の収容所で取調をしている2人は相手がどういう選択をするかわかりません。
そうなると、相手の裏切りを恐れて自白することで罪を軽くしようと、2人とも自白をしてしまうとしているのです。
そうすれば両方に懲役5年が言い渡されます。
このように、個人が自分の利益の事ばかりを考えれば、結果として全体にとって最善の選択になるとは限らない。というゲーム理論をこの「囚人のジレンマ」を使ってうまく説明しているのです。
合格者はこう覚える!
上述の「囚人のジレンマ」は頻出キーワードですが、内容を考えれば理解しやすい内容です。個人が自分のことばかりを考えれば、全体としては最適の方法とならないとしているのは教訓じみた所もあるため頭に入りやすいことでしょう。
この囚人のジレンマと併せて覚えてほしい言葉に「共有地の悲劇」という言葉があります。こちらも社会福祉士試験の頻出キーワードです。
たとえば,ある共有地に数人がそれぞれ牛を飼い各自が牛を育てていたとします。最初はこの共有地と牛の餌である牧草とのバランスがとれており、各自がその牛から収入を得ることができていました。
ところが、そのうちの一人が牛の数を自分勝手に多量に増やしてしまったとします。そうするとそこに生育する牧草が不足してしまい、牧草全体が枯れてしまってしまうことで牛の飼育ができなくなり、結果的には全体として利益が減少してしまう事を例としています。
つまり、囚人のジレンマと同様、ある個人が相手の事を考えず自己の利益にばかり目をとられると結果的には最良の結果を生み出すことはできないゲーム理論の本質を例え話を使ってわかりやすく解説しているのです。
「囚人のジレンマ」と「共有地の悲劇」は内容は同じですので、併せてしっかりと理解してください。
- この記事でのポイント
・「ゲーム理論」とは、ゲームに勝つための戦略的思考の理論のこと
・囚人のジレンマ=「個人の最善の選択が必ずしも全体にとっての最善の選択になるとは限らない」
・共有地の悲劇も併せて覚える。