地域福祉の理論と方法の科目は、地域の福祉に対しての成り立ちやあり方を学べるため非常に勉強になる科目です。今後の福祉は地域によって支え合うことが必要になってくるため、資格取得後も復習する人も多いようです。国家試験においては高得点を狙える科目です。より定番問題が出題されやすい科目ですので、ここでも出題頻度が高い頻出キーワードをしっかり覚えていきましょう。受験生が選ぶ頻出キーワード第1位をこの記事では紹介します。
・第1位キーワードの覚え方。
以下、目次となります。
『地域福祉の理論と方法』受験生が選ぶ頻出キーワード第1位は?
この言葉が第1位に選ばれました。ベヴァリッジ報告は、1942年に発表されたイギリスの社会保障制度に関する報告書のことです。経済学者であった、ウィリアム・ヘンリー・ベバリッジが貧困問題対策としてまとめ上げた報告書になります。
この報告書を皮切りに様々な報告が20世紀にイギリスではなされ、現在につながる地域福祉の発展につながっていきます。社会福祉士の国家試験においても非常に狙われやすい分野の1つです。
それぞれの報告がどの順番でなされたのか、そこでどのような事を言っているのか。これまで通りキーワード形式で頭に入れていきましょう。
ベヴァリッジ報告
ベヴァリッジ報告は、ベヴァリッジが委員長となり、1942年に貧困の解消に着目して,社会保険と,国家扶助を二大テーマに掲た報告書のことです。報告書の中で、5つの悪(貧困、疾病、失業、不潔、無知)に対して、所得補償、保健、雇用、住宅、教育で対応すべきだとしました。
この報告書の中で、政府は生活費としてナショナル・ミニマムという最低限の費用を保障するべきだとしました。それ以上の生活を望む場合には自助努力が必要だとしたのです。
社会保険については原則として,均一負担と均一給付の平等主義とし、全国民を保障の対象とすることが提唱されました。この報告書は、大戦後のイギリスにおける社会保障制度の基礎となりました。
1948年には、彼によりボランタリー・アクションという著書が刊行されました。ボランティアセクターの重要性を説き、福祉を国家的に行っていく中で大切な役割を担うと示したのです。
シーボーム報告
シーボーム報告とは、1968年にシーボームにより出された社会福祉制度の改革を打ち出した報告のことでです。
これまで、バラバラに対応していたソーシャルワーク窓口の統合を行い、社会サービス部と言う福祉を扱う部門のソーシャルワーカーが、個別の支援のみでなく、住民参加や地域との一体化のための組織活動に取り組むことが大切だと提言したものです。
これにより、1970年、地方自治サービス法が制定され、ソーシャルワークに関連した部門は統合され、統一された地方自治体社会サービス部が成立しました。
この2つの出来事をまとめて、シーボーム改革と言い、地方自治体を中心に地域福祉(コミュニティケア)を推進する体制が確立したのです。
ウルフェンデン報告他
その後も、イギリスでは様々な報告が出されます。1968年にはガルベンキアン報告(コミュニティーワークをソーシャルワークの一部として理解する必要性を述べたもの)、1969年にはエイブス報告(福祉サービス分野においてボランティアがどのような役割を果たすべきかをまとめたもの)が出されます。
1978年にはウルフェンデン報告が提出されます。ボランタリー組織のあり方について検討された報告書です。社会サービスを、1.公的部門 2.インフォーマル部門 3.民間営利 4.民間非営利の4つに分けるという福祉多元主義を提唱しました。公的部門の役割を認めながらも各部門の連携の重要性を述べ、特にインフォーマル部門を重要視しました。
その後、1982年にはバークレイ報告(コミュニティーソーシャルワークの提唱)、1988年にはワグナー報告(施設ケアを分析し重要性を提言)がそれぞれ出されることとなりました。
コミュニティケア改革
コミュニティケア改革とは1988年のグリフィス改革(自治体の役割にマネジメントが必要だと論ずる)、1990年の国民保健サービス(NHS)及びコミュニティケア法(地方自治体への財源、権限の一元化)に伴い行われたものです。
コミュニティケア改革では、上述のグリフィス改革と国民保健サービス(NHS)及びコミュニティケア法の内容が基盤となっています。
主な内容としては、地方自治体への権限及び財源の移譲、コミュニティケア計画の策定の義務化、地方自治体の社会サービス部の役割はサービスの提供ではなく、条件を整備すること(条件整備主体)だとした等になります。
合格者はこう覚える!
イギリスの地域福祉は地方自治体の役割やボランタリーセクター、ボランティアの役割が議論されながら進化を遂げてきました。ベヴァリッジ報告から始まる1900年代のイギリスの地域福祉に関する報告は現代の地域福祉の考え方の基盤になっているため大変重要な内容と言えるでしょう。
ただし、内容は難しいところもあり、国家試験対策として全部を頭に入れるのは余裕がある人以外は困難です。よって、ここでも、各報告書とキーワードを結び付けて覚えましょう。
1942年 | ベヴァリッジ報告 | 5つの悪(貧困、疾病、失業、不潔、無知)、ナショナルミニマムの保障を提言。 |
1948年 | ボランタリー・アクション | ベヴァリッジによる著書 |
1968年 | シーボーム報告(※1) | 自治体のソーシャルワーク部門の統合 |
1970年 | 地方自治体社会サービス法(※1) | 統一的な地方自治体社会サービス部 |
1968年 | ガルベンキアン報告 | コミュニティワークをソーシャルワークの一部に。 |
1969年 | エイブス報告 | ボランティアの役割を検討 |
1978年 | ウルフェンデン報告 | 福祉多元主義を提唱 |
1982年 | バークレイ報告 | コミュニティソーシャルワークの提唱 |
1988年 | ワグナー報告 | 施設ケアの推奨 |
1988年 | グリフィス報告(※2) | 自治体の役割にマネジメント |
1990年 | 国民保健サービス(NHS)及びコミュニティケア法(※2) | 自治体への権限、財源の一元化 |
(※1)シーボーム改革へ
(※2)コミュニティケア改革へ
・死人のベジータは悪ではない。(42年、ベヴァリッジ報告、5つの悪。ナショナルミニマム)
・牢屋でしぼみ、しわが10。(68年、シーボーム報告、ソーシャルワーク部門の統合)
・無理やりガリ勉もコソ泥の一味に。(68年、ガルベンキアン報告、コミュニティワークをソーシャルワークの一部に)
・ムックの役にブスなボランティアを検討。(69年、エイブス報告、ボランティアの役割を検討)
・なんかやばいもの売るらしいよ。たむけんは。(78年、ウルフェンデン報告、福祉多元主義)
・闇にばっくれ、抗争をさける。(82年、バークレイ報告、コミュニティソーシャルワーク)
・やっぱ、空きの枠ない、施設入所の難しさ。(88年、ワグナー報告、施設ケア)
・半端ないルフィーのマネジメント。(88年、グリフィス報告、自治体の役割にマネジメント)
- この記事でのポイント
・ベヴァリッジ報告書の中で、5つの悪(貧困、疾病、失業、不潔、無知)に対して、所得補償、保健、雇用、住宅、教育で対応すべきだとした。
・1948年には、ベヴァリッジによりボランタリー・アクションという著書が刊行。
・1968年のシーボーム報告と1970年の地方自治サービス法によりシーボーム改革が行われる。
・1978年にはウルフェンデン報告により福祉多元主義が提唱。
・1988年のグリフィス改革、1990年の国民保健サービス(NHS)及びコミュニティケア法に伴いコミュニティケア改革が断行。