現代社会と福祉の科目はこれまでの福祉政策の歴史の変遷が詰め込まれているため、福祉を学ぶ上では大変重要な科目です。しかし、幅広い内容の理解が必要なので高得点を狙うのは難しい科目でもあります。よって、ここでも出題頻度が高い頻出キーワードをしっかり覚えることがカギとなります。受験生が選ぶ頻出キーワード第5位をこの記事では紹介します。
・第5位キーワードの覚え方。
以下、目次となります。
『現代社会と福祉』受験生が選ぶ頻出キーワード第5位は?
この言葉が第5位に選ばれました。ノーマライゼーションの概念は福祉を考える上で最も大切な考え方の1つだと言えます。障害のある人が障害のない人と同様の生活を行えるような社会を目指そうという理念です。 英語では「
常態化とは障害がある人を変えて社会に適合させるのではなく、彼らがそのままの状態で健常者とともに普通の生活ができるように生活環境の方を変えていくという意味合いを持ちます。
社会福祉士の国家試験では、この概念を発展させていく上で、世界の様々な人の名前が出てきます。この人々がどのような流れで出てきて、どのような事に貢献したかをしっかりと学習してください。
ミケルソン
ノーマライゼーションは、1950年代のデンマークの知的障害者の親の会の活動により始まりました。この活動に共鳴したのがデンマークのバンク.ミケルソンです。彼は1950年法を作りました。
これまで、隔離的で環境も劣悪な巨大施設に障害者が収容されていました。彼は施設に収容されている知的障害者の処遇改善が必要だと知的障害者の親の会の活動に関わりながら、感じていったのです。
この1950年法によりミケルソンが初めて、ノーマライゼーションという言葉を使ったのがこの言葉の始まりです。そこで、彼は「ノーマライゼーションの父」と呼ばれるようになりました。
ニィリエ、ヴォルフェンスベルガー
1960年代にはスウェーデンのB.ニィリエが理論化しました。彼はノーマライゼーションを実現するために八つの原理を提唱しました。
※ノーマライゼーションの八つの原理
1.一日のノーマルなリズム
2.一週間のノーマルなリズム
3.一年間のノーマルなリズム
4.ライフサイクルにおけるノーマルな発達経験
5.ノーマルな個人の尊厳と自己決定
6.その文化におけるノーマルな性的関係
7.その社会におけるノーマルな経済水準とそれを得る権利
8.その地域におけるノーマルな環境形態と水準
このようにノーマライゼーションを世に定着させていったニィリエは「ノーマライゼーションの育ての父」と言われています。
また、1970年代にはヴォルフェンスベルガーが「ノーマライゼーションとは、できる限り文化的に通常の人間の行動と概観および理解を確立するために、できる限り文化的に通常となっている諸手段を利用することにある」と文化的に通常となっている手段を利用することという要素をこの原理の定義に含める必要があるとしました。
彼の特徴は文化的な視点を取り入れた点であり、アメリカ・カナダにおいてノーマライゼーションの理念を発展させてたのです。
合格者はこう覚える!
ノーマライゼーションでは3人の人物の入れ替えが頻繁に出題されています。よってこの3人について覚える必要があります。しかし、概念を頭に入れるのは難しいので、各人物の備わるキーワードを間違えないようにして覚えてください。
ミケルソン:デンマーク-1950年法-「ノーマライゼーションの父」
ニィリエ:スウェーデン-八つの原理-「ノーマライゼーションの育ての父」
ヴォルフェンスベルガー:アメリカ、カナダ-文化的視点
特にミケルソンとニィリエは紛らわしいので正確に覚えてください。デンマークとスウェーデンも間違えやすいところです。注意しましょう。
また、この概念がデンマークの知的障害者の親の会の活動によって始まった点も非常に重要で国家試験で狙われやすいポイントです。ノーマライゼーションはデンマークの知的障害者の親の会から始まり、ミケルソンが最初にこの言葉を使用した点だけでもしっかりと暗記しておきましょう。
- この記事でのポイント
・ミケルソン:デンマーク-1950年法-「ノーマライゼーションの父」
・ニィリエ:スウェーデン-八つの原理-「ノーマライゼーションの育ての父」
・ヴォルフェンスベルガー:アメリカ、カナダ-文化的視点