低所得者に対する支援と生活保護制度の科目は、金銭的な面で生活に困った方々を福祉と言う枠組みで支援することを学ぶ科目です。現在の我が国は格差が広がっており、貧困の人達の生活を支える取り組みが議論され続けています。国家試験としては出題されやすい分野に絞って学習できるかがカギになる科目です。受験生が選ぶ頻出キーワード第1位をこの記事では紹介します。
・第1位キーワードの覚え方。
以下、目次となります。
『低所得者に対する支援と生活保護制度』受験生が選ぶ頻出キーワード第1位は?
この言葉が第1位に選ばれました。
日本国憲法の第25条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と述べられています。
つまり、この憲法第25条に則った形で、生活保護法が成立したこととなります。
国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的としています。
このような目的を達成するため、生活保護法は原理・原則がまとめられています。
4つの基本原理
以下の4つの基本原理は生活保護制度を学ぶ上で重要な内容です。4つとも正確に覚えてください
①国家責任の原理
…生活保護法は、日本国憲法第 25 条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。
②最低生活の原理
…法により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。
③無差別平等の原理
…生活に困窮するすべての国民は、法の定める要件を満たす限り、法による保護を無差別平等に受けることができる。
④保護の補足性の原理
…法による保護は、生活に困窮する者がその利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
4つの基本原則
以下の4つの基本原則も重要です。こちらも頻出の内容となっているので、4つとも正確に覚えてください
①申請保護の原則
…法による保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基づいて開始するものとする。ただし、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。
②基準及び程度の原則
保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行われる。
その基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつ、これを超えないものでなければならない。
③必要即応の原則
…法による保護の決定及び実施については、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効かつ適切に行うものとする。
④世帯単位の原則
…法による保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定める。ただし、これによりがたいときは個人を単位として定めることができる。
保護の種類
生活保護は、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8つの扶助から構成されています。
・生活扶助…日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)
・教育扶助…義務教育を受けるために必要な学用品費
・住宅扶助…アパート等の家賃
・医療扶助…医療サービスの費用
・介護扶助…介護サービスの費用
・出産扶助…出産費用
・生業扶助…就労に必要な技能の修得等にかかる費用
・葬祭扶助…葬祭費用
これらの扶助は、現金給付が原則ですが、医療扶助および介護扶助は、医療機関等に委託して行う現物給付となっている点にも注意が必要です。
合格者はこう覚える!
ネット上では、最後の8つの扶助の中の現金給付と現物給付の覚え方に語呂合わせがいろいろと出ています。
ちょっと紹介します。
お歳暮(生活保護)に今日(教育扶助)清(生活扶助)酒(出産扶助)とソー(葬祭扶助)セー(生業扶助)ジ(住宅扶助)を現物(以下は現物支給)で買(介護扶助)い(医療扶助).
※「みーの医学」より
イカ、ソーセージ、生協産。(イカは「物」で現物給付)
※ゴロ看護より
私個人は、医療と介護は私たちはいつでも現物給付と言うのはイメージがつきやすいと思います。
生活保護を受けずとも、医療や介護は、病院や介護施設に行って診療やサービスを受けてお金を一部支払い、残りの額が税金で補填されています。
費用の額はどの医療機関を使おうとも、介護施設を使おうとも大きな差はありません。
このシステムが成り立っているので、保護受給者は通常通りの医療と介護のサービスを他の人と同じように使って、その費用を支払わなくともよいと考えれば、覚えやすいと思います。
他の扶助は、税金の投入等がない民間のサービスの利用することがほとんどです。費用もどの会社や事業所を使うかで異なるため、現金給付の範囲内で受給者が選択できると考えるといいでしょう。
- この記事でのポイント
・生活保護法の4つの原理は、国家責任の原理、最低生活の原理、無差別平等の原理、保護の補足性の原理の4つである。
・生活保護法の4つの原則は、申請保護の原則、基準及び程度の原則、必要即応の原則、の4つである
・生活保護は、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8つの扶助から成る。
・8つの扶助は、現金給付が原則だが、医療扶助および介護扶助は現物給付となっている。
・現金給付か現物給付かは国試で狙われやすい。語呂合わせの活用も有効的。