現代社会と福祉の科目はこれまでの福祉政策の歴史の変遷が詰め込まれているため、福祉を学ぶ上では大変重要な科目です。しかし、幅広い内容の理解が必要なので高得点を狙うのは難しい科目でもあります。よって、ここでも出題頻度が高い頻出キーワードをしっかり覚えることがカギとなります。受験生が選ぶ頻出キーワード第3位をこの記事では紹介します。
・第3位キーワードの覚え方。
以下、目次となります。
『現代社会と福祉』受験生が選ぶ頻出キーワード第3位は?
この言葉が第3位に選ばれました。スウェーデンは1920年に社会民主労働政権が誕生します。1950年には公的扶助の制度を導入し、年金政策や社会保障の制度をいちはやく充実させた国です。
社会福祉士の国家試験で出てくる頻出キーワードとしての公的扶助という言葉も覚えておくべき単語です。公的扶助と社会保険のような保険料ではなく、全額を公費( 税金 )で負担する政策になります。スウェーデンはこのように税金により社会保障政策が実現されている国家ですので、消費税も25%(2020年現在)と高い国です。
しかし、教育費は大学まで含めてすべて無料。医療は18歳以下は無料、成人であっても自己負担が年間で最大約1万3000円と安く抑えられています。介護体制も充実しているため国民の幸福度が高い国家と言われています。社会福祉大国とも言われるスウェーデンの政策は今後の日本の福祉政策の大いなる参考となる国と言えるでしょう。
社会サービス法
1982年にスウェーデンでは社会福祉の基本となる社会サービス法が施行されました。この法律では、コミューンと呼ばれる基礎的自治体(日本で言う、市町村)が地域住民の必要な支援のための責任を負うとしています。介護保険など福祉の最終責任は国ではなく、その土地の自治体であるコミューンが行うとしている点が特徴的です。
スウェーデンの社会福祉政策はこのように、国、都道府県(ランスティング)、市町村(コミューン)でその役割が異なります。社会サービス法により、
国の事業:老齢年金、児童手当、傷病手当金等
都道府県(ランスティング)の事業:保健・医療サービス
市町村(コミューン)の事業:高齢者サービス、障害者サービス等の社会サービス
となったのです。
エーデル改革
スウェーデンでは1992年にエーデル改革が行われます。この改革は高齢者福祉に対する改革です。
具体的には訪問看護、長期療養ケアの施設、ナーシングホームなどの高齢者福祉サービスに関して、権限をランスティングからコミューンに委譲することとしました。つまり、上述のランスティングが行っていたサービスをコミューンに移管することで、医療サービスと高齢者サービスの実施責任を一体化したのです。
スウェーデンの介護サービス
スウェーデンの介護保険は自己負担を伴います。しかしその上限が決められており、自己負担上限額を「マックスタクサ」と呼んでいます。
スウェーデンでは、エーデル改革以降、ナーシングホームやグループホームなどを「介護付住宅」と呼び、この介護付住宅の8割は個室となっており、シャワー、トイレも完備されています。家賃も低額となっています。
認知症対応型のグループホームのニーズも高いため、子ども家族と同居している高齢者が少ないのもこの国の特徴となっています。
2000年には社会サービス法が改正され、長期療養者、高齢者、近親者のための支援やレスパイトの必要性を訴えた家族支援策が盛り込まれてるようになっています。
合格者はこう覚える!
スウェーデンの社会福祉政策で覚えるべきは、
・1982年 社会サービス法
・1992年 エーデル改革
です。
また、2000年には社会サービス法が改正されています。この3つの流れを頭に入れておけば試験対策としては十分です。
『1982年の社会サービス法により社会福祉のサービスが急速に発展し、その10年後のエーデル改革によりランスティング(都道府県)が担当していた権限をコミューン(市)に委譲。2000年の改正社会サービス法により家族支援策が盛り込まれた。』
上記を何度も復唱して頭に入れ込んでおきましょう。
- この記事でのポイント
・スウェーデンは公的扶助(税金)により社会保障政策が実現されている国家。
・1982年にスウェーデンでは社会福祉の基本となる社会サービス法が施行。
・1992年のエーデル改革では高齢者福祉サービスに関する権限をランスティングからコミューンに委譲することとなる。
・2000年には社会サービス法が改正され家族支援策が盛り込まれてるようになる。