社会保障の科目は、年金や各種保険など私たちの生活の中で関わりの深い内容であるため学習としてはやりやすい科目だと思います。ただし、知識を問う問題が多いため学習の量によって差が出やすい科目でもあるので、しっかりと学習を重ねてある程度の点数を狙える科目にしておきましょう。この科目も最初は頻出のキーワードから押さえていくことと致しましょう。受験生が選ぶ頻出キーワード第1位をこの記事では紹介します。
・第1位キーワードの覚え方。
以下、目次となります。
『社会保障』受験生が選ぶ頻出キーワード第1位は?
この言葉が第1位に選ばれました。年金と言う言葉を知らない人はほとんどいないでしょう。年金には国民年金、厚生年金がありますが労災保険にも年金と言う言葉が出てきます。ここでは、主に国民年金、厚生年金について学習していきます。
国民年金、厚生年金は基本的には私たちが高齢になった際に働かなくともお金を受け取ることができる制度であると言った理解をしている人は多くいると思います。しかし、それ以外にも障害者のための年金、被保険者が亡くなった時の年金などもあります。
高齢分野や障害分野で活躍される皆さんにとっては現場に出てからも必要な知識になりますのでしっかり学習し理解を深めていただけたらと思います。
国民年金
国民年金は、全国民を対象とした年金制度のことです。国民年金法の第1条には、日本国憲法の第25条(生存権)に規定する理念に基づき、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とすると書かれています。
すなわち、国民年金は国民全員が共同連帯して支え合う制度なのです。自営業者だけの制度と思っている人もいるでしょうが、会社員や専業主婦なども加入しないといけない制度となっています。
「老齢、障害又は死亡」とは、基本的には65歳になったとき、病気やケガで障害者になったとき、死亡したときに本人や遺族に必要な給付が行われると言う意味です。
☆国民年金の保険給付の種類
老齢…老齢基礎年金、付加年金
障害…障害基礎年金
死亡…遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金
厚生年金
厚生年金は上述の国民年金とは逆に労働者に限定し、労働者の保護を対象としています。
厚生年金法の第1条には、この法律は労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とすると書かれています。
保護の対象は国民年金と同様、老齢、障害又は死亡に関してですが、労働者に限定されている点が特徴です。
☆厚生年金の保険給付の種類
老齢…老齢厚生年金
障害…障害厚生年金、障害手当金
死亡…遺族厚生年金
国民年金の被保険者
国民年金の被保険者には、強制被保険者と任意加入被保険者とあります。社会福祉士試験の国家試験対策としてはまずは強制被保険者についてしっかり覚える必要があります。
第1号被保険者…自営業者、学生等
第2号被保険者…被用者(会社員、公務員等)
第3号被保険者…被用者の被扶養配偶者
第1号被保険者には以下の2つの条件を満たす必要があります。
①国内居住要件…日本国内に住所を有すること。
②年齢要件…20歳以上60歳未満。
一方の第2号被保険者には第1号被保険者で要件とされていた、国内居住要件、年齢要件がありません。これも社会福祉士の国家試験において押さえておきたいポイントです。
第3号被保険者は会社員の妻や夫が対象となりますが、国内居住要件においては原則必要、年齢要件においても必要となります。
①国内居住要件…日本国内に住所を有すること←原則必要
②年齢要件…20歳以上60歳未満。
原則としているのは、例外的に認められる場合があるからです。その例外として、「外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者として厚生労働省令で定める者」が、主として第2号被保険者の収入より生計を維持されていれば国内に住所を有していなくても構いません。
厚生年金の被保険者
厚生年金の被保険者は上述の国民年金の第2号被保険者の事です。先の述べたように国民年金は国民全体の年金制度ですので、厚生年金の被保険者も第2号被保険者として含みます。
この国民年金の中で第2号被保険者だけを取り出して厚生年金の被保険者と呼んでいます。この厚生年金の被保険者(国民年金の第2号被保険者)も4つの種別に分類されます。
第1号厚生年金被保険者…第2号、第3号、第4号厚生年金被保険者以外。
第2号厚生年金被保険者…国家公務員共済組合の組合員
第3号厚生年金被保険者…地方公務員共済組合の組合員
第4号厚生年金被保険者…私立学校教職員共済制度の加入者
合格者はこう覚える!
上述に加えて、保険給付についても狙われますので、下の表で違いを確認しながら覚えていってください。
国民年金 | 厚生年金 | |
老齢年金 | ・保険料納付済期間および保険料免除期間を併せて10年。 ・65歳に達したこと。 (その他) ・繰上げ(減額)、繰下げ(増額)あり。 |
・国民年金の受給資格を満たすこと。 ・1か月以上厚生年金保険の被保険者であること。 ・65歳に達したこと。 (その他) ・繰上げ(減額)、繰下げ(増額)あり。 ・60歳~65歳までの間に支給される特別支給の制度あり。 |
障害年金 | ・国民年金加入中に初診日のある傷病で障害認定日において1~2級の状態のもの ・初診日までに3分の2以上の期間で保険料を納付していること。 (その他) ・20歳前に初診日がある場合は所得制限あり。 ・1級は2級の1.25倍。 ・子の加算あり。 |
・厚生年金加入中に初診日のある傷病で障害認定日において1~3級の状態のもの。 ・初診日までに3分の2以上の期間で保険料を納付していること。 (その他) ・3級より軽い場合は障害手当金あり。 ・1級は2級の1.25倍。 ・配偶者の加算あり。 |
遺族年金 | ・子のある配偶者又は子に支給。 ・子の加算あり。 |
・配偶者、子、父母、孫、祖父母に支給。 第1順位:配偶者、子 第2順位:父母 第3順位:孫 第4順位:祖父母 |
- この記事でのポイント
・国民年金は、全国民を対象とした年金制度。
・厚生年金は労働者に限定し、労働者の保護を対象としている。
・国民年金、厚生年金は共に労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行う。
・国民年金の被保険者には第1号、第2号、第3号被保険者がある。
・厚生年金の被保険者には第1号、第2号、第3号、第4号被保険者がある。