福祉行財政と福祉計画の科目は、行政に関する知識をある程度有していないとイメージがつきずらい科目です。ただし、いったん理解が深まるとひねった問題よりも知識力を問う傾向がある科目ですので、ある程度の得点も期待できるようになります。この科目も最初は頻出のキーワードから押さえていくことと致しましょう。受験生が選ぶ頻出キーワード第4位をこの記事では紹介します。
・第4位キーワードの覚え方。
以下、目次となります。
『福祉行財政と福祉計画』受験生が選ぶ頻出キーワード第4位は?
この言葉が第4位に選ばれました。日本国憲法の第92条には「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とされています。つまり、この第92条により、地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、法律で定められており、その内容は「地方自治の本旨」に基づいるとされているのです。
「福祉行財政と福祉計画」の科目では、地方自治法の中でも基本的な事項のみを押さえれば問題ありません。むしろ、わかりやすい内容が多いのでいったん覚えれば得点源にもなりやすい分野です。
この科目でどこから手をつけたら良いかわからない方は、まずは地方自治法から頭に入れることをお勧めします。
普通地方公共団体と特別地方公共団体
地方自治法を詳しく読み込む必要はありません。ここでも、頻出キーワードのみを押さえていくべきです。まずは第一条の三が重要です。見てみましょう。
第一条の三 地方公共団体は、普通地方公共団体及び特別地方公共団体とする。
ここで言われていることは簡単なことです。地方公共団体とは、普通地方公共団体と特別公共団体に分かれますよ。と言っているだけです。これを聞くと、普通と特別の違いは何?と思うでしょうから、その次にその定義が出てきます。
2 普通地方公共団体は、都道府県及び市町村とする。
3 特別地方公共団体は、特別区、地方公共団体の組合及び財産区とする。
地方自治法の第1条の3の第2項と第3項の内容です。
第2項では、普通地方公共団体の定義です。すなわち、都道府県と市町村のことを普通地方公共団体と呼びますよ。と言っているだけです。
3項も見てみましょう。ここでは特別区や組合、財産区のことを特別地方公共団体と呼びますと言っています。
特別区とは東京23区のことです。組合は「一部事務組合」と「広域連合」の2種類に分けられており、役所の仕事の一部を合同に行うために創設されるものです。介護保険などは近隣の市町村が合わさって広域連合を作って業務を行うことも多いです。
財産区とは市町村の一部で、市町村内にある財産や公の施設の管理・処分をするために設置されるものです。社会福祉士の国家資格でここが狙われることは、ほぼないので、財産区が特別地方公共団体であると覚えておけば良いです。
国家試験対策としては、都道府県や市町村は普通地方公共団体。東京23区は特別地方公共団体と覚えておけばそれ以上を深く覚える必要はないでしょう。
地方公共団体は法人
続いて第2条を見てみましょう。
第二条 地方公共団体は、法人とする。
と書かれています。言うまでもありませんが、ここでは、地方公共団体は法人です!と言っているに過ぎません。
と言っても、法人ってそもそも何でしょう?民法を見てみると「法人とは、自然人以外で権利・義務の主体として認められるもの」とされています。つまり、「法律行為ができる団体」のことを言います。
地方公共団体は法律行為を行っている団体だ!と考えておけば、それでOKです。
2 普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。
7 特別地方公共団体は、この法律の定めるところにより、その事務を処理する。
第2項と第7項です。第2項では、それそれの文章から普通地方公共団体も特別地方公共団体も法律行為を行うということが読み取れるかと思います。
また、第2項では普通公共団体である市町村と都道府県の役割についても定義しています。
3 市町村は、基礎的な地方公共団体として、第五項において都道府県が処理するものとされているものを除き、一般的に、前項の事務を処理するものとする。
5 都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として、第二項の事務で、広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及びその規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するものとする。
ここも深く読み込む必要はありません。市町村は基礎的な地方公共団体である。都道府県は市町村を包括する広域の地方公共団体だ!程度の理解で問題ありません。
市の定義
第八条 市となるべき普通地方公共団体は、左に掲げる要件を具えていなければならない。
一 人口五万以上を有すること。
二 当該普通地方公共団体の中心の市街地を形成している区域内に在る戸数が、全戸数の六割以上であること。
三 商工業その他の都市的業態に従事する者及びその者と同一世帯に属する者の数が、全人口の六割以上であること。
第八条には市の定義が述べられていますが、ここで覚えるのは第一項のみで十分です。市になるためには、人口が五万人以上でなければなりませんよ。と言っているに過ぎません。
大都市、中都市に関する特例
- 第252条の19 政令で指定する人口五十万以上の市(以下「指定都市」という。)は、次に掲げる事務のうち都道府県が法律又はこれに基づく政令の定めるところにより処理することとされているものの全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することができる。
第252条の19で書かれている内容は、大都市に関する特例と呼ばれるものです。ここでも深い読み込みは必要ありません。大都市とは人口五十万以上の市である。とだけ覚えておきましょう。
第252条の22 政令で指定する人口二十万以上の市(以下「中核市」という。)は、指定都市が処理することができる事務のうち、都道府県がその区域にわたり一体的に処理することが中核市が処理することに比して効率的な事務その他の中核市において処理することが適当でない事務以外の事務で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することができる。
この第252条の22も覚えるのは1つだけです。政令で指定する人口二十万以上の市を中核市と言う。というところのみでOKです。
合格者はこう覚える!
地方自治法で覚える必要があるのは上記の内容で構いません。内容も特に難しくはないでしょう。都道府県や市町村は普通地方公共団体と呼ばれ、東京23区(特別区)は特別地方公共団体と呼ばれるのもすぐに頭に入るはずです。
市町村は基礎的な地方公共団体であり、都道府県は市町村を包括する広域の地方公共団体である。というのも、それぞれの都道府県の中に市町村があると考えれば都道府県が市町村を包括する。と言うのも覚えやすいはずです。
市になるには五万人の数が必要であり、大都市は五十万以上、中核市は二十万以上も特に覚えにくいこともないと思います。数字を勘違いしないようにしっかりと頭に入れてくださいね。
ちなみに中核市は以下の都市が該当するようです。
中核市の一覧
- この記事でのポイント
・都道府県や市町村は普通地方公共団体。東京23区は特別地方公共団体。
・地方公共団体は、法人。
・市町村は基礎的な地方公共団体であり、都道府県は市町村を包括する広域の地方公共団体である。
・市になるためには、人口が五万人以上でなければならない。
・大都市とは人口五十万以上の市、中核市とは人口二十万以上の市。