地域福祉の理論と方法の科目は、地域の福祉に対しての成り立ちやあり方を学べるため非常に勉強になる科目です。今後の福祉は地域によって支え合うことが必要になってくるため、資格取得後も復習する人も多いようです。国家試験においては高得点を狙える科目です。より定番問題が出題されやすい科目ですので、ここでも出題頻度が高い頻出キーワードをしっかり覚えていきましょう。受験生が選ぶ頻出キーワード第5位をこの記事では紹介します。
・第5位キーワードの覚え方。
以下、目次となります。
『地域福祉の理論と方法』受験生が選ぶ頻出キーワード第5位は?
この言葉が第5位に選ばれました。奥田道大という名前が出てくると地域を4つのモデルに分類した人と頭にパッと思い浮かべる必要があります。その1つ1つを理解する必要がありますが、地域リーダーの総称、住民組織についてそれぞれ言葉の違いに注意して比較して覚えましょう。
彼は地域社会は、地域性、生活空間、地域活動、地域社会感情から構成されると考え、その中でも、地域活動と地域社会感情の2つが重要であるとしました。また、分析にあたっては価値意識体系と行動体系という2つの軸を設定し、そこから4つの地域モデルを導き出したのです。
地域共同体モデル
地域共同体モデルとは伝統的な漁業や農業に表されるような名声のあるリーダーが組織をまとめあげるモデルです。このモデルにおいては、町内会や隣近所の関係性が強く、住民に関しては慣例やしきたりなどの伝統を重んじます。また、外部から入ってきたもの対しては冷たく、排他的な点も特徴と言えます。行政からの福祉サービスについても否定的と言えるでしょう。
以上から、
地域リーダーの総称:名望有力型リーダー
住民組織:町内会型組織
伝統型アノミーモデル
伝統型アノミーモデルとは、地域共同体モデルにおける人が減少し、都市化を目指していく際のモデルとされています。都市には無秩序な開発が進むため、生活問題が発生してしまいます。地域共同体モデルの伝統は形骸化していき、教育や環境、福祉などの問題には無関心な層が増えていきます。地域みんなで解決していくというよりも個別に行政にお願いするようなタイプな方が多く見られるようになっていきます。
以上から、
地域リーダーの総称:役職有力型リーダー
住民組織:行政系列型組織
個我モデル
個我モデルとは新興住宅地であるベッドタウンのような再開発を目指す地域をさします。このモデルでは「住民運動」に代表されるように、生活問題に対しては個々人が積極的に関与していこうとしていきます。行政に対しては不信感を持つため、自分達の権利を主張する人も多く出てきます。従来の町内会とは異なり、新たに強固な自治会などを再結成したりする点も特徴と言えるでしょう。
以上から、
地域リーダーの総称:組織活動家型リーダー
住民組織:対行政圧力団体型組織
コミュニティモデル
コミュニティモデルとは住民自治型の組織が充実しており、奥田の提唱するモデルの中でも最も理想的な地域社会であるとされています。行政と対立する個我モデルとは異なり、行政と協働しながら公私協働体制で、住民が主体となってまちづくりを展開する組織のモデルをさします。これからの地域の模範的なモデルタイプと言えるでしょう。
以上から、
地域リーダーの総称:有限責任型リーダー
住民組織:住民自治型組織
合格者はこう覚える!
奥田道大は4つの地域モデルは推移するとし、地域共同体モデル⇒伝統型アノミーモデル⇒個我モデル⇒コミュニティモデルに変わっていくとしています。
それぞれの名前はもちろんのこと、各リーダーの総称についてもしっかり暗記してください。
地域共同体モデル | 伝統型アノミーモデル | 個我モデル | コミュニティモデル |
名望有力型リーダー | 役職有力型リーダー | 組織活動家型リーダー | 有限責任型リーダー |
地域共同体モデルは伝統的な漁業や農業と説明しましたが、リーダーはカリスマのあるその地域で有名で名高いものです。公的な制度や法律よりもその土地の伝統を重んじるがために、地域で名の通った人がリーダーとなっていきます。
伝統型アノミーモデルは、人口も減少し都市化が進む際のモデルであるため個人主義的になりがちです。そういった層を束ねるにはしっかりとした役職がある客観的に見て誰しもが納得するようなリーダーが選ばれがちとなります。
個我モデルは住民運動が盛んになり、行政に対しては対立構造を生みがちです。よってバイタリティがあり、住民の不満をまとめあげるような活動的な人がリーダーとなっていきます。
コミュニティモデルは奥田の考える理想系でもありますが、行政とともに協力しながら地域を作り上げていくという思想のため、役割は分担され、その役割において責任をしっかりと果たすものがリーダーとして選ばれることとなるとしています。
- この記事でのポイント
・地域共同体モデルとは慣例やしきたりなどの伝統を重んじる地域のこと。
・伝統型アノミーモデルとは地域共同体モデルにおける人が減少し都市化を目指す地域のこと。
・個我モデルとは新興住宅地であるベッドタウンのような再開発を目指す地域のこと。
・コミュニティモデルとは住民自治型の組織が充実しており最も理想的な地域のこと。
・地域モデルは地域共同体モデル⇒伝統型アノミーモデル⇒個我モデル⇒コミュニティモデルと推移する。
・各モデルのリーダーの総称を覚える。