現代社会と福祉の科目はこれまでの福祉政策の歴史の変遷が詰め込まれているため、福祉を学ぶ上では大変重要な科目です。しかし、幅広い内容の理解が必要なので高得点を狙うのは難しい科目でもあります。よって、ここでも出題頻度が高い頻出キーワードをしっかり覚えることがカギとなります。受験生が選ぶ頻出キーワード第4位をこの記事では紹介します。
・第4位キーワードの覚え方。
以下、目次となります。
『現代社会と福祉』受験生が選ぶ頻出キーワード第4位は?
この言葉が第4位に選ばれました。ジェンダーは前回出てきたノーマライゼーションと同様、福祉を考える上で最も大切な概念です。福祉というと障がいや高齢などに目がいきがちですが、男性と女性の性差もより平等でならないと考えていく必要があります。
社会福祉士の国家試験で出てくる頻出キーワードとしてのジェンダーは、生物的な性差を意味するのではなく、社会的・文化的に規定された性差を意味するものです。ジェンダーとは生物学的な性差だ!という選択肢が出てくれば、すぐに×としなければなりません。
社会福祉士の国家試験では、ジェンダー・○○という言葉がたくさん出てくるため、このジェンダー・○○を正確に覚えることがカギとなってきます。
ジェンダー・メインストリーミング
上述のように社会的、文化的に男女の性差(ジェンダー)を平等にしようとする視点を主流化しようとする流れが生まれます。ジェンダーという考え方の元になる動きが始まりました。ジェンダーを主流化することを「ジェンダー・メインストリーミング(主流化)」と言います。主流化とはあらゆる政策等において、その概念を取り入れていきましょうという事です。
国際的な文書の中にジェンダー・メインストリーミングというという概念が登場したのは第3回の国連女性会議(ナイロビ)でした。そして1995年には北京にて第4回の世界女性会議が開かれ、その宣言の中に、「ジェンダー・メインストリーミング」が明記されました。
1995年-第4回世界女性会議での宣言-ジェンダー・メインストリーミング
は頻出キーワードとなりますのでセットでしっかりと覚えてください。
ジェンダー・(ロール、トラック、バイアス)
ジェンダー・ロールとは「性役割」のことです。例えば、昔は「男性は仕事をし、女性は家事をする」といった性別によって役割が期待されていました。このように男女の差によってその個人が社会的に期待されたり、制限されたりする役割のことをジェンダー・ロールと言います。
ジェンダー・トラックとは、ジェンダーが差別的な階層を生んでしまうことのことです。例えば「女性は、そんなに勉強ばかりしなくて家庭内の役割を重視してもらいたい」など、女性の職業分野への進出における目に見えない社会的強制力のある差別的構造をのことを言います。この概念は教育制度の中で作られた決められたコースの中で生まれるとされています。
ジェンダー・バイアスとは、男女について作り上げられてきた固定観念や偏見のことを言います。このバイアス(偏見)は男性中心の偏りのことを言います。男性が社会政策において安定に雇用されるのは当たり前であるが、女性が労働市場に男性と同様に参加するのは問題があるといった差別的な固定観念をさしています。
男女共同参画社会基本法
男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受でき、かつ、ともに責任を担う社会のことを男女共同参画社会と言います。
男女共同参画社会では男女が差別的な取り扱いを受けないこと、男女の人権が尊重されなければならないとされています。
男女共同参画社会の実現を向けて1999年に男女共同参画社会基本法が施行されていまう。この法律では、男女共同参画社会を実現するために内閣府に男女共同参画局が設置されているところに特色があります。
男女共同参画基本法の第4条では、制度や慣行が、男女の選択に対してできる限り中立的なものにするように配慮するように求められています。
★男女共同参画基本法の5つの基本概念
1.男女の人権の尊重
2.社会における制度および慣行についての配慮
3.政治等の立案及び決定への共同参画
4.家庭生活における活動と他の活動の両立
5.国際的協調
合格者はこう覚える!
ジェンダー・○○については「○○」の英語の意味がわかれば理解しやすいです。
・メインストリーミング(mainstreaming)…主流
・ロール(roll)…役割
・トラック(track)…進路(決められたコース)
・バイアス(bias)…偏り、偏見
英語が得意な方は頭に入りやすいはずです。逆に苦手な方はネットで良いので一度、英語を調べてその意味を理解することで内容の理解も深めてください。
また、ジェンダー・○○の中で覚えてほしいものがもう1つあります。それは、「ジェンダー・ギャップ指数」です。世界経済フォーラムが2019年に公表し、各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数(GGI)を発表しました。
厚労省のホームページによるとこの指数は、経済、政治、教育、健康の4つの分野のデータから作成され、0が完全不平等、1が完全平等を示しています。2020年の日本の総合スコアは0.652、順位は153か国中121位(前回は149か国中110位)でした。
日本の男女平等化は2020年現在、他国に比べて進んでいないと言う点も社会福祉士の国家試験で狙われやすいので頭に入れておいてください。
- この記事でのポイント
・ジェンダーは、生物的な性差を意味するのではなく、社会的・文化的に規定された性差を意味するもの。
・1995年、第4回世界女性会議(北京)開催。その宣言の中で「ジェンダー・メインストリーミング(主流化)」を明記。
・ジェンダー・ロール=「性役割」、ジェンダー・トラック=決められたコースの中で生まれる差別的な階層、ジェンダー・バイアス=男女における固定観念や偏見。
・男女共同参画社会の実現を向けて1999年に男女共同参画社会基本法
・ジェンダー・ギャップ指数は2019年153か国中121位。日本の平等化は進んでいない。