地域福祉の理論と方法の科目は、地域の福祉に対しての成り立ちやあり方を学べるため非常に勉強になる科目です。今後の福祉は地域によって支え合うことが必要になってくるため、資格取得後も復習する人も多いようです。国家試験においては高得点を狙える科目です。より定番問題が出題されやすい科目ですので、ここでも出題頻度が高い頻出キーワードをしっかり覚えていきましょう。受験生が選ぶ頻出キーワード第4位をこの記事では紹介します。
・第4位キーワードの覚え方。
以下、目次となります。
『地域福祉の理論と方法』受験生が選ぶ頻出キーワード第4位は?
この言葉が第4位に選ばれました。民生委員は地域の福祉全般に関する相談や援助活動を行っており、歴史ある制度の中活動しています。また、全ての民生委員は児童委員も兼ねており、子どもに関する様々な相談や支援を行っています。名前ぐらいは聞いたことがある方も多いと思います。
「民生委員」は、実は民生委員法に基づいて厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員なのです。創設から100年程の歴史を持つ制度ですので、その成り立ちからしっかりと理解しておきましょう。
済世顧問制度と方面委員制度
民生委員の源流となる済世顧問制度(岡山)、方面委員制度(大阪)は非常に重要な内容です。この辺りも試験で狙われやすいところなので、気を引き締めて内容を確認しましょう。
この2つの制度が出来るには、その時代の時代背景が関係します。
大正時代、第一次世界大戦が起こります。住民の生活は困窮していくことになります。この時代、米騒動などもおき世の中自体が不安定な状況になっていました。貧困層が増加していく中、国の施策がなされず、人々の不安や不満が高まる中、各首長が救貧対策の担い手として現在の民生委員の前身である済世顧問や方面委員の制度を創設したのです。
済世顧問制度や方面委員制度はドイツのエルバーフェルト制という制度を模範としています。
エルバーフェルト制度とは、1852 年,ドイツのエルバーフェルトにおいて地域単位でボランティア主導で行う個別に実施された救貧制度のことです。地域の人々が地域のためにボランティア(無給)の形で支援する制度であることがその特徴の1つでもあります。
この制度をモデルに、当時の岡山県知事、笠井信一と大阪府知事、林市蔵がそれぞれ済世顧問制度と方面委員制度を設けました。
この2人の取り組みが評価され、1936年には全国統一制度である方面委員令が公布されることとなりました。
民生委員法制定までの流れ
1936年の方面委員制度から10年後の1946年には民生委員令が出されます。この当時の日本の福祉施策の時代背景としては丁度、旧生活保護法が施行されています。名称が方面委員から民生委員に変更された点、民生委員が市町村の補助機関として規定された点が重要です。
1947年には児童福祉法の制定に伴い児童委員を兼務します。民生委員は児童委員を兼務していることも覚えておきましょう。
そして、翌年の1948年に民生委員法が制定されます(同年施行)。現在の民生委員はこの法律の制定から正式に法規定されることとなったのです。
1950年には、現在の生活保護法が制定されますが、これに伴い、民生委員がこれまでの補助機関から協力機関とされることとなりました。ここも出題されやすいのでしっかりと覚えてください。
民生委員の規定
民生委員で覚えておかないといけない内容の1つは、無報酬であるという点です。民生委員は特別職の地方公務員(非常勤)としての扱いにはなっていますが、基本的にはボランティアだと考えてください。ただし、業務においての活動にかかる費用は支給されることとなります。
選任は都道府県知事(政令指定都市・中核市の長)の推薦を受けたものを、厚生労働大臣が委嘱します。ここも出題されやすい内容です。
任期は3年です。社会福祉士の国家試験の科目の中に『更生保護制度』という科目があります。この中に保護司という役職が出てきます。保護司は保護司法に基づき,法務大臣から委嘱された非常勤の国家公務員とされています。こちらも無報酬の言わばボランティアです。こちらの任期は2年です。勉強が深まれば深まるほど、紛らわしくなりますので間違わないようにしてください。
任期途中で交代したりした場合、その人の任期は前任者の残りの任期になります。例えば、1年で何かしらの理由で他の方に交代になった場合は、その人の任期は残り2年となるので、この辺りも注意して覚えてください。
合格者はこう覚える!
上述のようにいろんなポイントがありますので、社会福祉士の国家試験でもいろいろと出題しやすいキーワードでもあります。最低限覚えておいてほしいのは、
・児童委員を兼務。
・1950年からは補助機関から協力機関へ。
・無報酬だが活動費は支給。
・厚生労働大臣が委嘱。
・任期は3年
この内容は必須です。後は、その前身である済世顧問制度と方面委員制度の違いです。
岡山県 | 大阪府 |
済世顧問制度 | 方面委員制度 |
笠井信一知事 | 林市蔵知事 |
1917年創設 | 1918年創設 |
この違いも単語を入れ替えて出題されやすいので注意して覚えてください。この2つの制度がドイツのエルバーフェルト制度を参考としている点も大切ですので併せて覚えておきましょう。
- この記事でのポイント
・済世顧問制度や方面委員制度はドイツのエルバーフェルト制という制度を模範。
・民生委員は児童委員を兼務。
・1950年の生活保護法が制定により、民生委員が補助機関から協力機関に。
・特別職の地方公務員だが無報酬、任期は3年。