権利擁護の科目は、社会的弱者の権利を守るためにとても大切な科目です。福祉の現場で働くと利用者をどう守っていくかを真剣に考える時がきます。法律用語も多く難しいですが、将来のためになると思いしっかり学習してください。受験生が選ぶ頻出キーワード第1位をこの記事では紹介します。
・第1位キーワードの覚え方。
以下、目次となります。
『権利擁護』受験生が選ぶ頻出キーワード第1位は?
この言葉が第1位に選ばれました。
成年後見制度は権利擁護の中で中心的内容です。社会福祉士の国家試験では出題されないことはないと言っても言い過ぎではないでしょう。
成年後見制度は認知症や障がいのある方の権利を守るために作られた比較的新しい制度です。
ハンディキャップのある方を悪意のある人から守るために代理人制度を作ったと考えれば良いでしょう。
社会福祉士の国家試験に出てくることはほとんどありませんが、実は18歳以下の未成年にも未成年後見制度というものがあります。
親権者の死亡などにより親権者がいなく なった未成年者を法律的に保護するための制度です。
未成年の代理人は主に親が担いますので、認知症や障がいで判断能力が乏しくなった方の代理人制度と覚えておきましょう。
成年後見人
成年後見制度と言えば、成年後見、保佐、補助、任意後見制度から成り立っていることをまずは頭に入れましょう。それぞれの違いが入れ替わって出題されるのは頻出内容です。
その中で、まずは成年後見人について理解を深め、上述の保佐、補助、任意後見制度の違いを頭に入れてください。
まずは成年後見人です。成年後見の対象者は
『精神上の障害により判断能力を「欠く常況にある」者とされています。
対象者は成年被後見人の要件ですが、単に上述の精神上の障害により判断能力を欠くだけ要件だけでは成年被後見人とはみなされません。
家庭裁判所の審判を受ける必要があるからです。
ちょっと民法が絡んだ難しい話になりますが、医師から認知症や重度の精神障害を診断されたとしても、その時点で取消権などが付与されるわけではありません。
あくまでも家庭裁判所が被後見人と判断されなければなりません。
うちのお爺ちゃん、こんな貴金属を数百万円で買ってきたけど、認知症の診断を受けたので取り消せますよね。と行っても通用しないということです。
成年被後見人と家裁に認められ始めて、成年後見人と言う第三者が代理人になることができます。代理人なので、当事者の代理行為が出来るようになりますが、
国家試験対策としては、この成年後見人にどんな権利が付与されるかを正確に覚えることが大切です。
・代理権
・取消権
・(追認権)
・同意権がない。
代理権とは本人の代わりに行える行為です。例えば、銀行の預金の引き出しなどがこれにあたります。仮に認知症の人が介護施設にお金を払わねばならないが、お金の引き出し方がわからないと言った場合、
いかに家族と言えども、本人以外のものであれば暗証番号がわからなけらば本人の通帳からの引き出しは不能です。しかし、後見人をつければ後見人と本人のみ可能になります。
取消権はいったん行った契約を取り消す権利のことです。これも後見人がいれば多額の貴金属や土地、物品を買わされても後見人が取り消すことができます。ちなみに被後見人本人も後見人がつけば取り消せますので覚えておきましょう。
ただし、取消権に関しては日常生活に関する行為(例えば、食料品や日用品の買い物)については取り消すことはできません。これも国試で狙われやすいところです。
追認権は取消権と表裏一体なのでカッコ書きにしました。取消権があれば追認権があると思って良いです。取消権とは別に相手方にその契約が有効で取り消すことはないことを宣言する権利です。
さて、最も社会福祉士の国家試験で狙われやすいのが後見制度の中で後見人と任意後見人だけが同意権がない!と言う点です。
内容はわからなくても、同意権がないことは絶対に知っておかねばなりません。追認権はあるのに同意権はないのです。ごっちゃにしないように。
簡単に言えば、被後見人が後見人に同意をもらっての契約だと主張しても、同意権はないので取消すことができることになります。
先に未成年後見制度のことをお話ししましたが、未成年は親に同意を得た契約なら有効です。ただし、成年後見人は被後見人自体に判断能力がないと認められているため、同意をもらってもその行為を実際にし得ることができない可能性が高いため認められていません。
保佐人
保佐人の対象者は
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者とされています。
成年後見人は判断能力を「欠く常況にある」者でしたね。
この辺の違いは狙われやすいところです。
さて、保佐人でも大切なのは、与えられている権限になります。以下が保佐人に与えられた権限です。
・代理権
・取消権
・(追認権)
・同意権がある。
保佐人で大切なのは取消権、同意権に関しては一定の財産行為に限られているとされています。
法律としては民法第13条1項に定められた重要な法律行為と言う言い方をします。
それぞれについては興味があれば調べてみるのも良いでしょうが、社会福祉士の国家試験対策としては細かすぎる内容になりますので、優先順位は下げて良いです。
下記の民法を参照ください。
まずは同意権があるという点をしっかり押さえて後見人との違いを明確にしておきましょう。
民法参照
※e-Gov法令検索参照
補助人
補助人の対象者は
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者とされています。要は成年後見制度の中でも一番、判断能力が正常に近い者、すなわち状態が軽い者になります。
補助人に与えられた権限は
・代理権
・取消権
・(追認権)
・同意権がある。
あ、保佐人と同じだ。と思ったことでしょう。しかし、それでは不十分です。
補助人に与えらた代理権、取消権は保佐人に比べて限定されている点です。
保佐人は一般的に重要とされる取引について同意権・取消権を有しており、その対象となる取引は上述の通り民法により定められています。
これに対し、補助人の同意権・取消権は家庭裁判所が特に認めた行為についてのみ認められます。
合格者はこう覚える!
上述の後見人、保佐人、補助人の権限を覚えることが大切です。
代理権 | 取消権 | 追認権 | 同意権 | |
後見人 | 〇 | 〇(※1) | 〇 | ✖ |
保佐人 | 〇(※2) | 〇(※2) | 〇 | 〇 |
補助人 | 〇(※3) | 〇(※2) | 〇 | 〇 |
ここでは後見人の同意権のみ✖がついているので覚えやすいですね。
ただし、この後見制度の中にある任意後見制度の任意後見人にも同意権はありませんので併せて覚えましょう。
※1…日常生活に関する行為(例えば、食料品や日用品の買い物)については取り消すことはできない。
※2…民法で定められている範囲
※3…家庭裁判所が特に認めた行為についてのみ
- この記事でのポイント
・成年後見制度は、成年後見、保佐、補助、任意後見制度から成り立っている。
・成年後見の対象者は精神上の障害により判断能力を欠く常況にある者とされている。
・成年後見人はは日常生活に関する行為(例えば、食料品や日用品の買い物)については取り消すことはできない。
・後見制度の中で後見人と任意後見人だけが同意権がない。
・保佐人の対象者は精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者とされている。
・補助人の対象者は精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者とされている。
・保佐人の代理権、取消権は民法で定められている範囲だが、補助人のそれは家庭裁判所で審判を受けなければならない。